F1レース回顧:2012_Rd.1 Australian GP

Rd.1 Austrarian GP - Winner: Jenson Button (Mclaren)


「チャンピオンシップはMclarenとRedBullの争いになるだろう」

決勝の結果が出た後で「今年を占う一言」をこう語るのは決して難しくはない。
しかし予選が終わった段階で、同じ言葉を導き出した人は少ないはずだ。
何故なら両者の間には、Grosjean(Renault)とSchumacher(Mercedes)がいたのだから。

少なくとも私は土曜日の夜、この予選結果に胸をときめかせていた。
はたして今年は(というか今年こそは)2009年後半から続いている
「ビッグ5」=Vettel,Webber,Alonso,Button,Hamiltonによる表彰台の寡占が終わり、
新しいバトルの出現とヒーローの登場を望みうるのだろうか?
多くのF1ファンの興味がそこに集中している。
少なくとも私は、ありていにいうと「青とシルバーと赤の戦い」に少し飽きている。

しかし決勝でのペースを見ると、少なくともMercedesとRenault
ビッグ5を脅かすほどの良好なロングランペースは無さそうだ。
予選3番手のフランス人と4番手のドイツ人はともに不運に見舞われたが、
両チームメイトもそれぞれ、レースの後半はSauberの白黒の車に封じ込められ
とてもストレスの多いグランプリウィークを過ごした。

オフのテストから「勢力図が明確ではない」と言われ続けてきた。
一戦終えても、まだ分からないという論調さえある。
私は細かなペース分析はできないが、レース最終結果のタイムチャートは
42周目にセーフティカー解除になった後に“よーいドン”で
各車がぼぼ同条件で走行した「17周だけ」のわりあい純粋なデータを提供している。
私はここから以下の仮説を導き出すことができた。

●MclarenとRedBullの4台には、ほとんどタイム差が無かった
●(Ferrariというよりも)Alonsoは上位から1周1秒のビハインドがあり
少し離れた6位から11位の4チーム(Sauber,Lotus,ToroRosso,ForceIndia)は
明白なタイム差のない団子状態だった

注目すべきは2つ目の仮説である。
このグループにはクラッシュ直前までAlonsoと競り合っていたMaldonado(Williams)と
なかなかの不運グセを持ち続けるRosberg(Mercedes)が含まれていない。
最終ラップの混乱以前の経過やレース中のマッチアップなどを鑑みると
Ferrari,Williams,Mercedesを加えた「7チームが団子だ」と言うこともできそうだ。

おそらく次戦以降もしばらくは、コース適性や展開のアヤによって
「5位を争うチャンスがあるドライバー」の顔ぶれが毎回変わるのではなかろうか?
そして上位4台のうち、もし2台にアクシデントが起きれば
誰か1人は表彰台に登ることができる権利を持っているのではないだろうか?
「7チーム14人のうち、たった1人だけが・・・」である。
これは昨年までには無かった興奮だ。

14人の顔ぶれを見ると、表彰台経験者が5人(うち3人がチャンピオン)で、
残りはキャリア3年以下の若手なので「1つの椅子を5人が争う」構図が描きやすい。
しかし昨今のF1では「キャリアや経験」は「強さ」と結びつくことこそあれ、
「速さ」との相関性があまりないと感じている。
可夢偉の活躍しかり、昨年のPetrovの表彰台や今年のGrosjeanの2列目しかりだ。

だから開幕戦を終えて「今年を占う一言」を、私はこう預言してみたい。

2012年のF1シーズンは、将来の祝福をいただくべき「誰か」が
初めての表彰台を射止め、ブレークするきっかけを掴む1年になるだろう。
それは来るべき将来の「大いなる勢力図の激動」の予兆なのだ
、と。

※3/19に書いた記事でしたが、言い訳っぽくなるのでそのまま掲載します。
 明日はマレーシアGP回顧です。