F1レース回顧:2012_Rd.4 Bahrain_GP

Rd.4 Bahrain GP - Winner: Sebastian Vettel (RedBull)

まずは昨年・一昨年のチャンピオンに経緯を表したい。
てっきり2012年は、彼の十八番であるポールトゥウィンを
1度も見ることはできないのか?と感じるほど、
ここ3戦の予選におけるVettelは精彩を欠いていた。

しかし、人間には「環境が変わることで見えてくる美徳」がある。
ここ2年の圧倒的な優位性が無くなったRedbullを駆って、
開幕戦の予選6番手からきっちりと2位を仕留めたステディさ。
そして「Q2敗退」という苦渋を舐めた上海の終盤で
磨耗しきったタイヤに苦戦しながらも何とか5位にとどまった姿。
2連覇後にマクラーレンへ移籍して失意のシーズンを送り
そこから「大人」のドライバーへ生まれ変わったAlonsoのように、
ドイツの田舎町が生んだ「スピード青年」は今、
大人の階段を1歩ずつ昇っている・・・そう感じられる勝利だった。

さて、4つのレースが終わって、4人のウイナーが生まれた。
8人のドライバーが表彰台にあがったが
そのうち3人は、昨年見たことがない顔ぶれだ。

ここに1枚の図を掲載してみたい。
(カンのよい人なら分かるかも知れないが)4戦の予選と決勝で
それぞれの上位3台がどのエンジンを積んでいるかを表したものだ。
青がRenault、黄がMercedes、赤がFerrariである。
※中国GPの3位はグリッド降格で8番スタートになったHamilton

たった4つのサンプルで統計的結論を導くのは確かに間違っている。
しかしF1サーカスが年間20レースしか実施しない以上、
統計学に逆らってでも、何らかの法則性を読み取りたくなる。
きわめて論理的に記述するならば、以下の記載は「真」であろう。
 ・予選の計12グリッドのうち、Mercedesが9つを独占した
 ・Mercedesが予選上位を独占したら、Renaultは決勝が奮わない
 ・逆にRenaultが予選上位に食い込むと、決勝ではMercedesを上回る
 ・Ferrariが上位に入ったのは、雨のマレーシア決勝だけ

BSフジの中継で川井氏も指摘していたが、
中国ではMercedes、バーレーンではRenaultが上位を独占という
連続するレースでまったく違う傾向が出たのは
気温か路面かコース特性か、あるいは統計的ばらつきなのか
まったく理由を推測できない。
しかし、小林可夢偉がレース後のコメントで
「気温が高いとフェラーリエンジンがダメなのかもしれない」
「エンジンマッピングの問題」などと指摘しているように、
マシンの外観や技術にチーム間の差がないばかりに
「タイヤとエンジンと運」が成績を左右しえるという傾向は
ヨーロッパラウンド以降も注目すべき傾向かもしれない。